起業しても、つねに順調にいくとは限りません。かつて、私は事業拡大しようとしてやめたことがあります。

このまま拡大路線を続けると、ビジネスそのものが危なくなると思ったからです。事業を拡大すれば、利益が大きくなると考えられがちですが、一方で、起業失敗のリスクを招くこともあります。

それがどういうことなのか、実際の経験をまじえてお話しします。

起業失敗につながる事業拡大とは?

事業拡大がうまくいかなかったというと、「じっくりと時間をかけて少しずつビジネスを拡大していけば、それなりにやれたんじゃないか?」と思われる方がいるかもしれません。しかし、それでも結果は大きく変わらなかったでしょう。

それどころか、組織を大きくしたことで、起業失敗につながる可能性が大きくなることに気づいたのです。

なぜなら、毎月出て行くお金が大きくなるため、つねに売上げを高いところで維持し続けなければならないからです。

小さい会社が、売上げを高いところで維持させ続けるというのは、簡単ではありません。それこそ社長が最前線でつねに陣頭指揮をとり続けなければなりません。

仮に陣頭指揮を取り続けたとしても、売上げを推移させ続けるのはむずかしいものです。

事業拡大と融資の関係

少しでも売上げが下がれば、すぐに資金がショートします。それを補填するには社長が銀行と交渉し、借り入れをしなければなりません。

すると、社長の主な仕事は銀行と交渉することになり、融資を受けることが目的の資料作成や事業計画などの見直しに時間が割かれ、陣頭指揮を取れなくなります。

次の手を打つためにお金を借りるのであれば、レバレッジとして意味はありますが、売上げ補填のための借り入れは、単なる延命のための借り入れになる可能性が高くなるので、できる限りその状況は避けなければなりません。

単純に売上げが足りないために、借り入れをして売上げを補填するという場合もありますが、何にしても延命のための借り入れは、泥沼にはまってしまう恐れが大きくなります。

ビジネスがイケイケのときは黙っていても銀行はお金を貸してくれます。

勢いのあるときは打つ手がハマることがほとんどなので、お金を生み出しやすいのですが、勢いがあるばかりに売上げをつくることが融資を受けるための条件となってしまうことがあります。

これでは融資頼みのビジネスとなってしまう危険性が高まります。

実際、融資を受けて事業を拡大させていったが、雲行きが怪しくなったとたんに、貸し渋りをされて飛んでしまったビジネスの例は、ちょっと調べればいくらでもあります。

補填のための借り入れにせよ、出店攻勢のための借り入れにせよ、誰かに大きなお金を借りてビジネスを続けるのは、スモールビジネスではリスクになります。

起業失敗のリスクを抱えないために

もちろん、借り入れをすることでビジネスを成長させることもできますし、借り入れを計画的に行ってビジネスを盤石にすることもあるので、借金が絶対的に悪ということではありません。

私がいいたいのは、「一気にビジネスを形づくることは必要だが、スモールビジネスでは事業拡大を目的としたビジネスの形ではなく、あなたが手に入れたい結果を得るための手段としてのビジネスの形をつくる」ことです。

このコンセプトを間違えると、ビジネスを崩壊させてしまう引き金になってしまうので気をつけてください。

幸い私は、銀行から借り入れできなかったのと、人とお金の真実に気づくことができたおかげで、必ずしも会社を大きくすることが経営を楽にすることではないと受け入れることができました。

その結果、スモールビジネスに方向転換する決断をくだすことができたので、大きなリスクを抱え込まずに済みました。

もし、あのとき気づかずにアクセル全開で突き進んでいたら、今ごろは毎日お金のことばかり考え、心休まる暇がなかったかも知れないと思うと本当にぞっとします。


「起業失敗を招く? 融資頼みの事業拡大」まとめ

事業を拡大すると経費が大きくなり、売上げが落ちると補填のために融資頼みになりやすく、リスクが大きくなる。